一人暮らしの固定費のなかで、電気代は「なんとなく高い気がするけれど何をすればいいか分からない」と後回しにされがちな項目です。ただ、請求書の中身を分解すると、下げられる部分とそうでない部分がはっきり分かれます。この記事では、料金の内訳を実際の単価で分解したうえで、アンペアの見直しや節電がそれぞれ年間いくらになるのかを数字で示します。
※料金単価は東京電力エナジーパートナー「従量電灯B」の公表値(2026年9月時点)に基づきます。電力会社・プラン・地域によって単価は異なります。
まず、自分の電気代が平均と比べてどうか
総務省の家計調査によると、単身世帯の電気代は2025年で月平均7,337円です。過去4年と並べると、状況が見えてきます。
| 年 | 電気代 | ガス代 | 上下水道料 |
|---|---|---|---|
| 2022年 | 6,808円 | 3,331円 | 2,116円 |
| 2023年 | 6,726円 | 3,359円 | 2,239円 |
| 2024年 | 6,756円 | 3,056円 | 2,282円 |
| 2025年 | 7,337円 | 2,999円 | 2,136円 |
※総務省統計局「家計調査 家計収支編 単身世帯(用途分類・全国)」より。1か月あたりの平均額です。
2022年から2024年までは6,700〜6,800円台で横ばいだったのが、2025年に7,337円へ上がっています。前年比で581円、率にすると8.6%の増加です。同じ期間にガス代と上下水道料はむしろ下がっているので、光熱費が上がったと感じているなら、その大半は電気代だと考えて差し支えありません。
なお、電気代は季節差が大きく、暖房を使う冬がもっとも高くなります。これは感覚の話ではなく、後で出てくる資源エネルギー庁のデータでも、設定温度を1度変えたときの節約額が冷房より暖房の方が1.7倍以上大きいことが示されています。自分の請求額を平均と比べるときは、年平均だけでなく同じ季節どうしで比べるようにしてください。
請求書は4つの要素でできている
電気代を見直すには、まず何にいくら払っているかを分ける必要があります。請求額は次の4つの合計です。
- 基本料金:契約アンペアで決まる固定費。電気を1kWhも使わなくてもかかります。
- 電力量料金:使った分だけかかる部分。使用量に応じて3段階で単価が上がります。
- 燃料費調整額:燃料価格の変動を反映する調整分。毎月変わり、プラスにもマイナスにもなります。
- 再生可能エネルギー発電促進賦課金:国が決める単価で、全世帯が使用量に応じて負担します。
基本料金(従量電灯B・税込)
| 契約アンペア | 月額の基本料金 |
|---|---|
| 10A | 311円75銭 |
| 15A | 467円63銭 |
| 20A | 623円50銭 |
| 30A | 935円25銭 |
| 40A | 1,247円00銭 |
| 50A | 1,558円75銭 |
| 60A | 1,870円50銭 |
並べると規則性が見えます。10Aあたり311円75銭で、完全に比例しています。
電力量料金(3段階・税込)
| 使用量 | 1kWhあたり |
|---|---|
| 最初の120kWhまで | 29円80銭 |
| 120kWh超〜300kWh | 36円40銭 |
| 300kWh超 | 40円49銭 |
使うほど単価が上がる仕組みです。ここが節電の効果を考えるときの鍵になります。
再エネ賦課金
2026年度の単価は1kWhあたり4円18銭です(2026年5月検針分から2027年4月検針分まで、経済産業省が設定)。電力会社を変えても、この単価は変わりません。
月200kWh・30A契約なら、内訳はこうなる
| 項目 | 計算 | 金額 |
|---|---|---|
| 基本料金 | 30A | 935円 |
| 電力量料金 | 120kWh×29.80+80kWh×36.40 | 6,488円 |
| 再エネ賦課金 | 200kWh×4.18 | 836円 |
| 小計 | 8,259円 |
これに燃料費調整額が加減されます。2026年の東京電力の従量電灯Bでは、この調整額がマイナス(差し引き)で推移しています。実際の請求額が上の小計より低くなっているなら、その分が効いていると考えてください。
この分解で分かる大事な点は、再エネ賦課金だけで年間1万円前後になることです(月836円×12=10,032円)。これは電力会社を変えても減りません。減らせるのは基本料金と電力量料金の2つです。
アンペアを下げると、年3,741円
基本料金は10Aごとに311円75銭でした。つまり1段階下げるだけで、
311円75銭 × 12か月 = 年間3,741円
が確実に浮きます。40Aから30Aでも、30Aから20Aでも同じ金額です。使用量にも季節にも左右されない、いちばん確実な削減です。
一人暮らしなら30Aで足りることが多く、40A以上で契約しているなら下げられる可能性があります。まずは検針票かマイページで、今の契約アンペアを確認してください。
下げる前に確認すること
アンペアは「同時に使える電力の上限」です。換算は単純で、
契約アンペア × 100 = 同時に使えるワット数
30A契約なら3,000W、20A契約なら2,000Wです。家電の消費電力は本体の表示や取扱説明書に「消費電力◯◯W」と書かれているので、同時に使う可能性のある家電のWを足し算して、上限を超えないか確かめてください。エアコン・電子レンジ・ドライヤー・電気ケトルあたりは消費電力が大きく、重なるとブレーカーが落ちます。
なお、アンペア変更の手続き自体は無料で、工事も多くの場合は不要です。ただし一度変更すると1年間は再変更できないのが一般的なので、下げすぎには注意してください。
1kWh減らすと、いくら浮くのか
節電の効果は「最後の1kWhの単価」で決まります。月200kWh使っている人が減らす1kWhは、第2段階の36円40銭にあたります。これに再エネ賦課金4円18銭が加わるので、
1kWh減らす=約40円
という換算になります。月10kWh減らせば約400円、年間で約4,800円です。この「1kWhあたり40円」を覚えておくと、節電の効果をその場で見積もれます。
効果が確認されている節電
資源エネルギー庁が公表している、エアコン(2.2kW)の省エネ効果です。金額は1kWhあたり31円で換算されています。
| やること | 年間の削減量 | 年間の節約額 |
|---|---|---|
| 暖房を21℃→20℃(1日9時間) | 53.08kWh | 約1,650円 |
| 暖房を1日1時間短縮(20℃) | 40.73kWh | 約1,260円 |
| フィルターを清掃する | 31.95kWh | 約990円 |
| 冷房を27℃→28℃(1日9時間) | 30.24kWh | 約940円 |
| 冷房を1日1時間短縮(28℃) | 18.78kWh | 約580円 |
ここで注目したいのは、同じ「設定温度1度」でも暖房の方が効果が大きいことです。冷房940円に対して暖房1,650円と、1.7倍以上の差があります。冬の電気代が高いのはこのためで、節電に手をつけるなら暖房から始める方が効率的です。
フィルター清掃が年990円というのも見逃せません。これは我慢を伴わない唯一の項目で、掃除機で吸うだけなら数分で終わります。
プランと電力会社を見直す
ここまでは今の契約のなかでできることです。単価そのものを変えるなら、プランか会社を見直します。
- 直近1年分の使用量(kWh)を確認する:金額ではなく使用量を見ます。これがないと他社との比較ができません。
- 今のプランが生活に合っているか見る:夜間が安いプランなのに日中在宅していると割高になります。逆に在宅が夜に偏っているなら時間帯別プランが有利になることもあります。
- 他社のシミュレーションで比べる:使用量が分かっていれば比較できます。ガスや通信とのセット割が使えるかも同時に確認します。
- 切り替えを申し込む:オンラインで完結し、工事も立会いも不要なのが一般的です。検針票にある「供給地点特定番号」と「お客様番号」が必要になります。
比べるときは、必ず基本料金と電力量料金の合計で見てください。基本料金が0円のプランは電力量単価が高めに設定されていることが多く、単体の項目だけを見ると判断を誤ります。
引っ越しのタイミングは見直しの好機
すでに住んでいる家で切り替えるより、引っ越しのタイミングで新規契約する方が手続きは簡単です。新居では最初から自分に合ったアンペアとプランを選べますし、旧居の解約と同時に進められます。手続きの順番とタイミングについてはこちらにまとめています。
→ 引っ越しの電気・ガス契約、正しい順番とタイミング完全ガイド
あわせて確認したい項目
電気代の内訳が分かると、家電単位でいくらかかっているかも気になってきます。24時間つけっぱなしになる家電については、個別に計算してみると見当がつきます。
- ウォーターサーバーの電気代は月いくら?:仕様表の消費電力で計算すると実際の10倍以上の数字が出てしまう理由と、正しい見方
- 一人暮らしの固定費見直しチェックリスト:電気代以外の固定費も含めて、どこから手をつけるか
- 一人暮らしの光熱費の内訳:電気・ガス・水道の構成比と、7年分の推移。上がったのが電気代だけだと分かります
- 一人暮らしのガス代は月いくら?:都市ガスとプロパンで同じ熱量でも約2倍違う理由
よくある質問
Q. 電力会社を変えると停電しやすくなりませんか?
A. なりません。送配電網はこれまでと同じ地域の送配電事業者が管理しているため、電気の品質や安定性は変わりません。変わるのは契約先と料金の計算方法だけです。
Q. 賃貸でも電力会社を変えられますか?
A. 基本的には変えられます。ただし建物全体で一括受電契約を結んでいる物件では個別の切り替えができません。検針票が電力会社から直接届いているかどうかが、ひとつの目安になります。
Q. 再エネ賦課金は払わなくて済みませんか?
A. 電気を使う全世帯が使用量に応じて負担する仕組みなので、免除はありません(一部の大口需要家向けの減免制度を除く)。電力会社を変えても単価は同じ4円18銭です。減らす方法は使用量そのものを減らすことだけです。
Q. アンペアを下げると電気代はどれくらい下がりますか?
A. 東京電力の従量電灯Bなら、10A下げるごとに月311円75銭、年間3,741円です。50A→30Aのように2段階下げれば年間7,482円になります。ただし同時に使える電力が減るので、契約アンペア×100Wの範囲に収まるか確認してください。
冬は電気代の水準そのものが上がります。1〜3月期の平均は月8,035円で、夏(7〜9月期)の6,197円より1,838円高い計算です。季節ごとの差と、冬に増えるのが電気代だけではない理由は一人暮らしの冬の光熱費は月いくら?で扱っています。
冬に限った平均と、年ごとのブレは一人暮らしの冬の電気代は月いくら?にまとめました。冬(1〜3月期)は月8,035円で夏の1.30倍。2018年からの8年分を並べると、値上げが冬に強く効いていること(冬+31.0%・夏+22.1%)も見えてきます。
まとめ
- 請求額は「基本料金+電力量料金+燃料費調整額+再エネ賦課金」の4つ
- 減らせるのは基本料金と電力量料金の2つ。再エネ賦課金(4円18銭/kWh)は会社を変えても減らない
- 基本料金は10Aごとに311円75銭。1段階下げれば年3,741円が確実に浮く
- 下げる前に、同時に使う家電のW数の合計が「契約アンペア×100」を超えないか確認する
- 月200kWh使う人にとって、1kWhの節電は約40円の価値がある
- 節電は暖房から。設定温度1度で冷房940円に対し暖房1,650円と、効果が1.7倍以上違う
- フィルター清掃は我慢なしで年990円。最初にやる価値がある

