天然水・RO水・ピュアウォーターの違い|公的な定義がある呼び名とない呼び名

天然水・RO水・ピュアウォーターの違い 公的な定義がある呼び名とない呼び名 生活インフラ

ウォーターサーバーを調べていると「天然水」「RO水」「ピュアウォーター」「ナチュラルミネラルウォーター」といった言葉が並びます。これらは横並びの選択肢ではありません。国が定めた分類名と、業界が使っているだけの呼び名が混ざっています。どれが公的な定義でどれがそうでないのかを、一次資料で確認しました。

4つの分類は、農林水産省のガイドラインで決まっている

容器入りの飲用水は、農林水産省の「ミネラルウォーター類(容器入り飲用水)の品質表示ガイドライン」で4つに分けられています。制定は平成2年3月30日(2食流第1071号)、最終改正は平成7年2月17日です。

定義は次のとおりです(原文)。

品名 定義
ナチュラルウォーター 特定の水源から採水された地下水を原水とし、沈殿、濾過、加熱殺菌以外の物理的・化学的処理を行わないもの
ナチュラルミネラルウォーター ナチュラルウォーターのうち、鉱化された地下水を原水としたもの
ミネラルウォーター ナチュラルミネラルウォーターを原水とし、品質を安定させる目的等のためにミネラルの調整、ばっ気、複数の水源から採水したナチュラルミネラルウォーターの混合等が行われているもの
ボトルドウォーター(飲用水) ナチュラルウォーター、ナチュラルミネラルウォーター及びミネラルウォーター以外のもの

読み解くと、分類を決めているのは「原水が何か」と「どこまで処理してよいか」の2つだけです。

  • 原水が地下水で、処理が沈殿・濾過・加熱殺菌のみ → ナチュラルウォーター
  • そのうち、地層の無機塩類が溶け込んだ地下水 → ナチュラルミネラルウォーター(いわゆる「天然水」はここ)
  • それにミネラル調整や複数水源の混合を加えたもの → ミネラルウォーター
  • 上記のどれにも当てはまらないもの全部 → ボトルドウォーター

つまり「ボトルドウォーター」は水の質が低いという意味ではなく、ナチュラル系の厳しい条件から外れたものをまとめて入れる箱です。処理方法に制限がないのがこの区分の特徴になります。

ここが重要。このガイドラインは法律ではない

見落とされやすい点ですが、品質表示ガイドラインは法令ではなく通達(行政指導)です。違反に罰則があるわけではなく、業界の自主的な分類基準として機能しています。

一方、法的な拘束力があるのは食品衛生法に基づく「食品、添加物等の規格基準」の方です。こちらではミネラルウォーター類は「水のみを原料とする清涼飲料水」として扱われ、成分規格が定められています。

この2つはよく混同されます。「天然水」という表示は品質表示ガイドラインの話、「安全性」は食品衛生法の話で、根拠となる制度がまったく別です。

RO水はどの分類に入るのか

RO水(逆浸透膜でろ過した水)は、分類上ボトルドウォーターにあたります。

理由は定義から導けます。ナチュラル系の3分類は「沈殿、濾過、加熱殺菌以外の物理的・化学的処理」を禁じています。逆浸透膜処理はこれに含まれない処理なので、定義上ナチュラル系から外れます。

裏づけとして、厚生労働省が出している「清涼飲料水(ミネラルウォーター類)製造におけるHACCPの考え方を取り入れた衛生管理の手引書」では、RO膜処理を用いる製造モデルの製品の品名表示が、いずれも「ボトルドウォーター」とされています。同手引書はボトルドウォーターの原水の例として「蒸留水」「純水」なども挙げています。

ただし正直に書いておくと、「RO膜処理水はボトルドウォーターに分類される」と明示した一文は、公的資料の中に見つけられませんでした。上記は定義と手引書のモデル事例から導いた結論です。

「ピュアウォーター」に公的な定義はない

調べた範囲では、「ピュアウォーター」という呼称は農林水産省のガイドラインにも食品衛生法の規格基準にも存在しません。厚生労働省のHACCP手引書にも登場しません(「純水」がボトルドウォーターの原水例として出てくるだけです)。

つまりこれは商品名・キャッチコピーの側の言葉で、公的な分類用語ではありません。「ピュアウォーター」と書かれていても、法的には多くの場合ボトルドウォーターです。商品を比べるときは、この呼称ではなくラベルの「品名」欄を見てください。品名には上の4分類のいずれかが書かれます。

殺菌の基準はどうなっているか

食品衛生法の規格基準では、ミネラルウォーター類は「殺菌又は除菌を行うもの」と「行わないもの」の2区分で成分規格が設定されています。

殺菌・除菌の方法は「中心部の温度を85℃で30分間加熱する方法その他の…微生物を死滅させ、又は除去するのに十分な効力を有する方法」と定められています。厚生労働省の手引書では、同等以上の効力を持つ方法として次が挙げられています。

方法 基準
加熱殺菌 85℃・30分以上に相当
フィルターろ過除菌 0.45μm以下
紫外線殺菌 26,000μW・sec/cm²以上
オゾン殺菌 CT値1.6以上

そして「殺菌又は除菌を行わないもの」には、微生物の要件が上乗せされます。腸球菌および緑膿菌が陰性であることが求められる仕組みで、殺菌しないまま流通させる分、原水そのものの清浄性を直接規制する構造になっています。

日本ミネラルウォーター協会の説明によると、ヨーロッパでは無殺菌・無除菌での製造が一般的なのに対し、日本では加熱殺菌または同等の処理が前提です。海外ブランドの「天然のまま」という表現と、日本のボトル水の作り方は前提が違います。

硬度の見方

硬度はカルシウムとマグネシウムの量を炭酸カルシウム換算した数値で、次の式で計算されます。

硬度(mg/L)= カルシウム(mg/L)× 2.5 + マグネシウム(mg/L)× 4.1

WHOの区分は次のとおりです。

硬度 区分
60mg/L未満 軟水
60〜120mg/L 中程度の硬水
120〜180mg/L 硬水
180mg/L以上 非常な硬水

参考になるのは、厚生省の「おいしい水研究会」が1985年にまとめた「おいしい水の要件」で、硬度10〜100mg/Lが挙げられていることです。水道法の水質基準は300mg/L以下なので、基準としての上限とおいしさの目安はかなり違います。

そして東京都の水道水の硬度は、令和5年度の実測で蛇口での平均が約60mg/L。おいしい水の要件の範囲に入っています。日本のウォーターサーバーが扱う天然水も硬度30〜50mg/L程度のものが多く、硬度という点では水道水と大きく変わりません。硬度を理由にウォーターサーバーを選ぶ意味は、日本国内ではあまり大きくないということになります。

一人暮らしの選び方にどう効くか

分類の違いは、そのままサーバーの仕組みの違いに対応しています。

サーバーの種類 水の分類 コストの構造
宅配型(天然水) ナチュラルミネラルウォーター 使った量だけ払う。最低注文量がある
宅配型(RO水) ボトルドウォーター 同上。天然水より単価が安いことが多い
浄水型(水道直結・給水式) 水道水を浄水したもの(ボトル水ではない) 定額制。使わなくても同じ金額

一人暮らしで判断に効くのは、水の種類よりこの課金構造の違いの方です。使用量が少ないと定額制は1リットルあたりが割高になり、宅配型は最低注文量が余る原因になります。一人暮らしにウォーターサーバーは「いる」?「いらない」?で、1リットルあたりの単価を使用量別に計算しています。

宅配型を選んで水が余ってしまった場合の対処は水が余るときの対策に、契約期間と解約金の条件は解約金はいくらかにまとめています。

よくある質問

Q. 天然水とRO水、どちらが安全ですか?

A. どちらも食品衛生法の規格基準を満たしたものが流通しています。分類の違いは安全性の順位ではなく、原水と処理方法の違いです。RO水は逆浸透膜で不純物を除いたもので、天然水は地下水をほぼそのまま使ったものです。

Q. ラベルの「品名」はどこを見ればいいですか?

A. 容器の裏面などにある一括表示欄の「品名」です。ここに「ナチュラルミネラルウォーター」「ボトルドウォーター」など4分類のいずれかが書かれます。商品名の「天然水」「ピュアウォーター」といった表記とは別物なので、分類を確認したいときは品名欄を見てください。

Q. 硬度が低い水の方が体にいいのですか?

A. 硬度は味や用途に関わる指標で、優劣ではありません。厚生省の「おいしい水の要件」では硬度10〜100mg/Lが挙げられています。東京都の水道水は平均約60mg/Lで、この範囲に入っています。

Q. 浄水型サーバーの水は何に分類されますか?

A. 浄水型は水道水をフィルターに通して使うもので、容器入り飲用水として製造・販売されるわけではありません。したがって品質表示ガイドラインの4分類の対象外です。もとが水道水なので、水質基準に関する省令の52項目を満たした水が原水ということになります。

Q. 「非加熱」と書いてある水は日本では珍しいのですか?

A. 制度上は「殺菌又は除菌を行わないもの」という区分が存在します。その場合は腸球菌・緑膿菌が陰性であることが求められます。日本では加熱殺菌または同等の処理が一般的で、ヨーロッパでは無殺菌が一般的という違いがあります。

まとめ

  • 容器入り飲用水は「ナチュラルウォーター」「ナチュラルミネラルウォーター」「ミネラルウォーター」「ボトルドウォーター」の4分類。決めているのは原水が地下水かどうかと処理をどこまで許すかの2軸だけ
  • この分類は農林水産省の品質表示ガイドライン(通達)であって法令ではない。法的拘束力があるのは食品衛生法の規格基準の方
  • RO水はボトルドウォーターにあたる(定義と厚生労働省HACCP手引書のモデル事例から。明示した一文は公的資料に見当たらず)
  • 「ピュアウォーター」に公的な定義はない。ガイドラインにも規格基準にも登場しない商品呼称
  • 殺菌は85℃30分または同等以上。無殺菌で流通させる場合は腸球菌・緑膿菌が陰性であることが求められる
  • 硬度は日本の天然水で30〜50mg/L程度、東京都の水道水は平均約60mg/L。硬度を理由に選ぶ意味は国内では小さい
  • 一人暮らしの判断に効くのは水の種類より課金構造(定額制か従量制か)

出典は、農林水産省「ミネラルウォーター類(容器入り飲用水)の品質表示ガイドライン」、消費者庁「食品、添加物等の規格基準」(清涼飲料水の成分規格)、厚生労働省「清涼飲料水(ミネラルウォーター類)製造におけるHACCPの考え方を取り入れた衛生管理の手引書」、環境省「水質基準項目と基準値」、東京都水道局「水の硬度」、日本ミネラルウォーター協会の公開資料です。

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