引っ越しの手続きを進めると、「電気やガスの開始・停止に立会いは必要なのか」という疑問が出てきます。よく言われるのは「電気は不要、ガスの開栓だけ必要」ですが、これには3つの例外があります。しかもそのうち2つは、一人暮らしの賃貸で当てはまりやすいものです。この記事では、公式に案内されている条件をそのまま整理しました。
※本記事の条件は2026年9月時点の東京電力エナジーパートナー・東京ガスの公式FAQに基づきます。他地域の事業者は条件が異なります。
基本の要否
| ライフライン | 使用開始 | 使用停止 |
|---|---|---|
| 電気 | 原則不要 | 原則不要 |
| ガス | 必要 | 条件つきで不要 |
| 水道 | 原則不要 | 原則不要 |
この表だけ見ると「確実に時間を空けるのはガスの開栓1回」に見えます。実際、多くの場合はそのとおりです。ただし公式の案内をよく読むと、条件が付いています。
例外①:電気も立会いが必要になることがある
東京電力エナジーパートナーの公式FAQには、こう書かれています。
「ご使用開始・停止は、原則、お立会い不要ですが、設備状況などによりお立会いが必要になる場合がございます」
必要になる場合は、一般送配電事業者(東京電力パワーグリッドなど)または東京電力から連絡が来ます。つまり、こちらから確認しなくても連絡があれば分かる仕組みです。逆に言えば、申し込み後に電力会社からの連絡を見落とさないようにしてください。メールや電話を放置していると、当日になって使えないという事態になり得ます。
例外②:ガスの停止も、オートロックだと立会いが必要
ここが一人暮らしでいちばん引っかかりやすい部分です。東京電力の公式FAQには、ガスの使用停止についてこう書かれています。
「ガスメーターが屋外や、オートロックによる通行制限がない場所に設置されている場合、お立会いの必要はありません」
裏を返すと、オートロックの物件では、ガスを止めるときにも立会いを求められるということです。作業員が建物に入れないためです。
「ガスの停止は立会い不要」と覚えていると、退去日に予定を入れてしまって慌てることになります。オートロックのマンションやアパートに住んでいるなら、閉栓にも時間を空ける前提で日程を組んでください。
例外③:警報器をリース契約していると、停止に立会いが必要
東京ガスは、使用停止の立会いについて「オートロックの場合やリース契約で警報器をご利用されている場合等には、お立会いをお願いしております」と案内しています。
ガス警報器を自分で買ったのではなくリースで使っている場合、機器の回収が必要になるためです。入居時に何を借りているかは、契約書か管理会社で確認できます。
なぜガスの開栓だけは避けられないのか
ガスの開栓には、屋内での安全点検が必ず伴います。作業員が室内に入り、ガス漏れの有無を確認し、給湯器やコンロの点火を確かめます。所要時間は30分程度と東京ガスが案内しています。
電気が立会い不要なのは、スマートメーターの普及で遠隔から通電状態を切り替えられるようになったためです。同じことがガスではできません。安全確認が人の手を必要とする以上、ここは短縮できない部分だと考えてください。
当日のこまごました点
- 印鑑は不要:東京ガスは「印鑑は不要です。作業後はタブレット端末にサインをいただきます」と案内しています。
- 家具がなくても問題ない:むしろ搬入前の方が作業スペースを確保しやすく、スムーズです。ただしガス機器(給湯器・コンロ)が設置済みであることが前提になります。備え付けでないコンロを自分で用意する場合は、開栓までに設置しておく必要があります。
本人が立ち会えないときは
東京ガスは、開栓作業の立会者について次のように案内しています。
「入居者本人が立ち会えない場合でも、東京ガスからのお知らせ内容をお伝えいただける代理の方(大家さま、管理人さまなど)のお立会いでも作業は可能です」
つまり代理は可能ですが、条件があります。作業員からの説明を受け取って、あとで本人に伝えられる人でなければいけません。ガス機器の使い方や注意点の説明があるためです。友人に頼むより、管理人や大家に相談する方が確実な場面です。
使用停止の立会いについても、東京ガスは代理人可としています。
電気がつかないときに確認すること
使用開始日になっても電気がつかない場合、多くはブレーカーが切れているだけです。東京電力が案内している操作手順は、順番が決まっています。
- アンペアブレーカーのつまみを「入」にする
- 漏電ブレーカーのつまみを「入」にする
- 配線用ブレーカーのつまみを「入」にする
- 電気が使えるか確認する
ひとつ注意点があります。スマートメーターで契約アンペアを設定している場合、アンペアブレーカーは取り付けられていません。分電盤を見て「アンペアブレーカーがない」と思っても異常ではないので、その場合は手順2から始めてください。
ここまでやっても電気が使えないなら、申し込み自体が完了していないか、開始日が翌日以降に設定されている可能性があります。カスタマーセンターに連絡する前に、メーター番号を確認しておくと手続きが早く進みます。
日程の組み方
- ガスの開栓を最優先で押さえる:立会いが必要で、しかも枠が埋まりやすいのはここだけです。日程全体の軸になります。
- 開栓は入居初日の午前中に設定する:開栓が済まないとお湯が使えません。荷物の搬入と重ならない時間帯に置けると理想的です。
- 自分の物件がオートロックか確認する:該当するなら、旧居のガス停止にも立会いの時間を確保します。
- 電力会社からの連絡を見落とさない:設備状況によっては電気にも立会いが必要になります。
申し込みのタイミングそのもの(東京電力のWEB申込は当日〜31日先まで、という上限があります)については、こちらにまとめています。
よくある質問
Q. オール電化の物件ならガスの立会いも不要ですか?
A. ガスを使わない物件であれば、開栓自体が発生しないため立会いは不要です。電気のみの手続きになりますが、設備状況によっては電気でも立会いを求められることがあるので、申し込み後の連絡は確認してください。
Q. ガスの開栓にはどれくらい時間がかかりますか?
A. 東京ガスは30分程度と案内しています。ガス機器の数が多い場合や給湯器の点検に時間がかかる場合は延びることがあるので、1時間程度みておくと安心です。
Q. 部屋に家具が何もない状態でも開栓できますか?
A. 問題ありません。むしろ搬入前の方が作業しやすくなります。ただし給湯器やコンロが設置済みであることが前提です。
Q. 立会いに印鑑は必要ですか?
A. 必要ありません。東京ガスは「印鑑は不要です。作業後はタブレット端末にサインをいただきます」と案内しています。
Q. 水道は本当に立会い不要ですか?
A. 多くの自治体では、元栓を開ければ使えるため立会いは不要です。ただし水道は自治体ごとに運用が異なるため、新居の水道局の案内を確認してください。メーターが屋内にある物件などでは扱いが変わることがあります。
まとめ
- 基本は「立会いが必要なのはガスの開栓だけ」。所要30分程度
- ただし電気も、設備状況によっては立会いが必要になることがある(該当すれば連絡が来る)
- オートロックの物件では、ガスの停止にも立会いが必要。一人暮らしの賃貸で当てはまりやすい
- 警報器をリース契約している場合も、停止に立会いが必要
- 代理立会いは可能だが、説明を受け取って本人に伝えられる人(大家・管理人など)であること
- 電気がつかないときは、アンペア→漏電→配線用の順にブレーカーを入れる。スマートメーターならアンペアブレーカーがないこともある

