一人暮らしのガス代は月いくら?都市ガスとプロパンで2倍違う理由

一人暮らしのガス代は月いくら?都市ガスとプロパンで2倍違う理由 生活インフラ

一人暮らしのガス代は、月の平均で2,999円です(総務省「家計調査」2025年平均・単身世帯)。ただしこの数字は、あなたの請求額を予想する役には立ちません。都市ガスかプロパンガスかで、同じ量のお湯を沸かしても支払額が約2倍違うからです。この記事では公的なデータと各社の公式料金表から、その差がどこで生まれるのかを計算で示します。

一人暮らしのガス代の平均は月2,999円

総務省統計局の家計調査(家計収支編・単身世帯)から、光熱費の内訳を7年分並べたものが下の表です。数値はすべて1か月あたりの平均額で、e-Statで公開されている統計表から取得しました。

年 電気代 ガス代 上下水道料 他の光熱 光熱・水道 計
2019年 5,700円 3,012円 2,120円 821円 11,652円
2020年 5,791円 3,021円 2,172円 702円 11,686円
2021年 5,482円 3,001円 2,248円 651円 11,383円
2022年 6,808円 3,331円 2,116円 843円 13,098円
2023年 6,726円 3,359円 2,239円 720円 13,045円
2024年 6,756円 3,056円 2,282円 721円 12,816円
2025年 7,337円 2,999円 2,136円 861円 13,333円

この7年分を並べて見えてくることがあります。

  • ガス代はほぼ動いていません。2019年3,012円 → 2025年2,999円で、7年でマイナス0.4%。最高(2023年3,359円)と最低(2025年2,999円)の差も360円です
  • 上下水道料も動いていません。2,120円 → 2,136円でプラス0.8%
  • 上がったのは電気代だけです。5,700円 → 7,337円でプラス28.7%

「光熱費が高くなった」という実感の中身は、ほぼ電気代です。ガスと水道はこの7年、ほとんど値上がりしていません。電気代の方が気になる場合は、一人暮らしの電気代を見直す手順にまとめています。

ただし、この平均はあなたには当てはまらない

2,999円という平均値には、都市ガスの世帯とプロパンガス(LPガス)の世帯が混ざっています。この2つは、同じ量の熱を使っても支払額がまったく違います。

まず普及の状況です。資源エネルギー庁の液化石油ガス流通ワーキンググループ「中間とりまとめ」(2024年4月)によると、令和3年度末時点で都市ガスが2,652万件(44%)、LPガスが約2,173万件(36%)、オール電化等が1,150万件(20%)。一人暮らしの部屋がどちらになるかは、ほぼ物件で決まります。

なぜ2倍になるのか。熱量で比べないと分からない

ここが一番の落とし穴です。都市ガスとプロパンガスは、1立方メートルあたりの発熱量が2倍以上違います。だから「1m³あたりの単価」を並べても比較になりません。

ガスの種類 1m³あたりの発熱量
都市ガス(13A) 45MJ
プロパンガス(LPガス) 約99MJ

都市ガスは東京ガスネットワークが公表している13Aの標準熱量、プロパンは東京ガスの公式解説による数値です。つまりプロパン1m³は、都市ガス2.2m³ぶんの熱量にあたります。検針票の使用量が「プロパン5m³」と「都市ガス11m³」なら、使った熱の量はほぼ同じです。

同じ熱量で並べた比較

東京ガスが自社サイトで公表している比較(2026年4月検針分)が、まさにこの条件で作られています。

世帯 都市ガス(東京ガス) プロパンガス(東京都)
一人暮らし 11m³で2,571円 5m³で5,187円
4人家族 44m³で7,653円 20m³で14,811円

11m³×45MJ=495MJ、5m³×99MJ=495MJ。熱量をそろえたうえで、5,187円 ÷ 2,571円 = 約2.0倍です。

ただしこれは都市ガス会社が出している比較なので、鵜呑みにせず別の出典で検算しました。

公的統計と他社の料金表で検算する

プロパンの価格は、一般財団法人日本エネルギー経済研究所 石油情報センターが全国の小売価格を調査して公表しています。都市ガスは大阪ガスの一般料金表を使いました。どちらも消費税込みです。

ガス 料金の根拠 支払額 熱量 1MJあたり
都市ガス 大阪ガス一般料金・20m³(基本759.00円+184.43円/m³) 4,448円 900MJ 4.94円
プロパン 石油情報センター速報・全国平均10m³ 9,822円 990MJ 9.92円

1メガジュールあたり4.94円と9.92円で、やはり約2.0倍。東京ガスの比較、石油情報センターの全国平均、大阪ガスの料金表という独立した3つの出典が、同じ結論に収束します。

金額に直すと、東京ガスの例で月2,616円の差。1年で約31,000円です。これが「同じ生活をしていても、部屋を選んだ時点で決まっている差」になります。

自分の部屋がどちらか確認する方法

入居前でも入居後でも、次のどれかで分かります。

  • 建物の外にガスボンベがあるか。銀色や灰色のボンベが置いてあればプロパンガスです。都市ガスは道路の下の導管から供給されるのでボンベがありません
  • 検針票・請求書の発行元。「〇〇ガス株式会社」が地域の大手都市ガス会社なら都市ガス、聞いたことのない地元の販売店名ならプロパンの可能性が高いです
  • ガスコンロの表示。都市ガス用とプロパン用は器具が違い、本体に「12A・13A」または「LPガス」と書かれています
  • 物件情報の「ガス」欄。契約前ならここに「都市ガス」「プロパンガス」と書かれています

引っ越し前に確認できるなら、それが一番効きます。家賃が月2,000円安い部屋でも、プロパンなら差が消えることがあるためです。引っ越し時の手続きの順番は引っ越しの電気・ガス契約、正しい順番とタイミングにまとめています。

プロパンガスが高くなる構造

プロパンガスは、都市ガスと違って公共料金ではなく自由料金です。販売店が自由に価格を決められます。加えて、賃貸物件では長く次のような慣行がありました。

資源エネルギー庁の解説によると、賃貸集合住宅では「LPガス事業者から住宅オーナーへさまざまなモノの『無償貸与』がおこなわれ、その金額が入居者のLPガス料金に上乗せされる」構造があります。ガス会社がオーナーに給湯器やエアコン、Wi-Fi機器などを無料で提供し、その費用を入居者のガス料金から回収する仕組みです。事業者を選ぶのはオーナーで、入居者は選べません。

同ワーキンググループの調査では、LPガス事業者の61.7%が賃貸集合住宅のオーナーから無償貸与の要求に応じたことがあると回答しており、契約戸数2,500戸を超える事業者では約9割に達していました。

2024年から2025年にかけて制度が変わった

この構造に対して、液化石油ガス法の施行規則が改正されています。経済産業省の公表資料によると、内容と時期は次のとおりです。

施行 内容
2024年7月2日 過大な営業行為の制限。無償貸与・フリーメンテナンス・紹介料の支払いを禁止。消費者の事業者変更を制限する契約条件も禁止
2024年7月2日 情報提供義務。賃貸物件の入居希望者が契約前にガス料金の情報を得られるようにする(直接要請された場合は応答義務)
2025年4月2日 三部料金制の徹底。請求時に「基本料金・従量料金・設備料金」の3つに分けて通知することを義務化。賃貸住宅ではガス器具等の設備費用をガス料金に計上すること自体を禁止

計上禁止は新規契約に適用され、既存契約は早期移行の努力義務とされています。つまり今のところ、古い契約のままの物件では上乗せが残っている可能性があります。検針票が基本料金と従量料金に分かれていない、あるいは設備料金の記載がない場合は、販売店に内訳を求められます。

ガス会社は変えられるのか

結論から言うと、立場によって現実的な難しさが違います。資源エネルギー庁の説明を整理すると次のようになります。

  • 賃貸:契約者はオーナーであることが多く、入居者の一存では変更できないのが通常です。制度改正は「消費者が選択しやすい環境を整備する」ことを狙いとしていますが、入居者が自由に選べる状態になったわけではありません
  • 持ち家:建設時にガス管を敷設した事業者が配管の所有権を持ったまま供給する「貸付配管」が切り替えの障害になる、と資源エネルギー庁が指摘しています
  • 都市ガス:2017年の小売全面自由化により、供給エリア内であれば契約先を選べます

賃貸で「高い」と感じた場合に現実的な手段は、ガス会社の変更ではなく使用量そのものを減らすことと、次の引っ越しで都市ガス物件を選ぶことの2つです。

使用量を減らす。公的な数値がある方法だけ

資源エネルギー庁の省エネポータルサイトには、手法ごとの年間削減量が具体的な数値で公表されています。以下はその公表値です。

やること 前提条件 年間のガス削減量 公表されている節約額
入浴の間隔をあけない 2時間放置で4.5℃下がった湯200Lを1日1回追い焚きする場合 38.20m³ 約6,190円
シャワーを1分短くする 45℃の湯を流す時間を1日1分短縮 12.78m³ 約3,210円(水道代含む)
食器を洗う湯温を下げる ガス給湯器の設定温度を下げる 8.80m³ 約1,430円
炎を鍋底からはみ出させない ガスコンロ 2.38m³ 約390円

上の2つが桁違いに大きいことが分かります。ガス代はほぼお湯です。コンロの火加減を気にするより、風呂とシャワーの使い方を変える方が20倍近く効きます。

そして重要なのは、この削減量がプロパン世帯ではより大きな金額になることです。プロパンは1m³の単価が都市ガスより高いので、同じ38.20m³を削っても浮く金額が違います。プロパンの部屋に住んでいる人ほど、省エネの効果が大きいという関係になります。

なお、節約額として公表されている金額は1m³あたり171円という単価を前提にしたもので、削減量に単価を掛け直すと一致しない項目があります。金額は目安として、削減量(m³)の方を自分の単価に掛けて計算するのが正確です。

よくある質問

Q. プロパンガスの料金に上限はありますか?

A. ありません。プロパンガスは自由料金で、販売店が価格を決められます。都市ガスのような認可制の上限はなく、同じ地域でも販売店によって金額が違います。2025年4月からは請求時に基本料金・従量料金・設備料金を分けて通知することが義務化されたので、内訳を確認できるようになりました。

Q. ガス代が急に高くなりました。使い方は変えていません。

A. まず検針票で使用量(m³)を前月・前年同月と比べてください。使用量が変わっていないのに金額が上がっているなら単価の改定、使用量が増えているなら気温低下による給湯の負荷増が典型です。冬は水温が下がるぶん、同じ温度のお湯を作るのに多くのガスを使います。

Q. 都市ガスとプロパン、どちらが安全ですか?

A. 性質が違うだけで、どちらが危険ということはありません。都市ガスは空気より軽いので漏れると天井付近にたまり、プロパンは空気より重いので床付近にたまります。警報器の設置位置がそれぞれ違うのはこのためです。

Q. オール電化の物件ならガス代はゼロですか?

A. ガス代はゼロになりますが、その分が電気代に移ります。家計調査の単身世帯では電気代が7年でプラス28.7%、ガス代はほぼ横ばいだったので、光熱費全体で有利とは限りません。物件を比べるときは電気とガスの合計で見てください。

Q. 一人暮らしで自炊をしないなら、ガス代はどれくらいですか?

A. コンロの使用量はガス代全体のごく一部です。省エネポータルサイトの数値でも、コンロの火加減の見直しによる削減量は年2.38m³で、追い焚き(年38.20m³)の16分の1です。自炊をしなくてもシャワーは使うので、ガス代が劇的に下がるわけではありません。

ガス代は季節による振れ幅が大きい費目です。冬(1〜3月期)の平均は月3,942円で、夏(7〜9月期)の2,203円の約1.79倍。電気代の1.30倍より動きが激しく、その主な理由は暖房ではなく給湯です。詳しくは一人暮らしの冬の光熱費は月いくら?にまとめました。

季節によるブレも大きい費目です。冬(1〜3月期)の平均は月3,942円で、夏(7〜9月期)の2,203円の1.79倍。原因は暖房ではなく水温で、水道水の温度が下がるぶん同じお湯をつくるのに多くのガスが要ります。仕組みの計算は一人暮らしの冬のガス代は月いくら?夏の1.79倍になる理由にまとめました。

ガス種別を選べるのは物件を決める瞬間だけです。引っ越しの費用対効果という観点でこの点をまとめたのが引っ越しの繁忙期はいつ?の後半です。

まとめ

  • 一人暮らしのガス代の平均は月2,999円(家計調査2025年平均・単身世帯)。ただしこの平均は、都市ガス世帯とプロパン世帯を混ぜた数字
  • 過去7年で、ガス代はマイナス0.4%、上下水道料はプラス0.8%とほぼ横ばい。上がったのは電気代だけ(プラス28.7%)
  • 都市ガス13Aは1m³=45MJ、プロパンは約99MJ。使用量のm³をそのまま比べても意味がない
  • 熱量をそろえて比べると、プロパンは都市ガスの約2.0倍。東京ガスの公式比較、石油情報センターの全国平均、大阪ガスの料金表という3つの独立した出典が同じ結論に収束する
  • 金額にすると一人暮らしで月約2,600円、年間約31,000円の差
  • 2024年7月と2025年4月の液石法改正で、無償貸与の禁止と三部料金制の義務化が施行済み。ただし既存契約には経過措置がある
  • 賃貸ではガス会社を選べないことが多い。効くのは使用量を減らすことと、次の物件選びで「ガス」欄を見ること
  • 使用量を減らすなら風呂とシャワー。追い焚きを減らすと年38.20m³、シャワー1分短縮で年12.78m³。コンロの火加減(年2.38m³)とは桁が違う

数値の出典は、総務省統計局「家計調査(家計収支編・単身世帯)」2025年平均、資源エネルギー庁「省エネポータルサイト」および液化石油ガス流通ワーキンググループ中間とりまとめ、経済産業省「LPガス料金の表示・計上方法に関する新しいルールの概要」、石油情報センター「LPガス一般小売価格調査」、東京ガスおよび東京ガスネットワーク、大阪ガスの各公式サイトです。料金は改定されることがあるため、契約前には必ず各社の最新の料金表をご確認ください。

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